和のアロマ

2022.12.15 Thu

 

もうすぐ冬至(毎年12月22頃)。

冬至は暦上、北半球に位置する地域では一年で一番日照時間が短い日とされ、この後に本格的な寒さがやってきます。

 

冬至というと、「ゆず湯」に入る風習を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

今回は、日本に暮らす私たちの身近にあふれるアロマ、

豊かな「和の香り」についてお話します!

 

 

 

「日本育ち」の香り

 

 

植物には、それぞれの生育に合った環境というものがありますね。

 

蒸し暑い環境を好む植物もあれば、乾いた土地を好む植物もある。

小さなハーブにも、大木に成長する樹にも、そこに根付き続けるのには理由があるということです。

 

そして、そこに暮らす他の動植物たちとの関わりはもちろんですが、

私たち人間の営みが植物に与える影響は、良くも悪くも大きなもの。

 

古くから日本の土地に自生し、今も「日本の植物」として多くの人の心になんとなく思い浮かぶような植物たちは、

それだけ私たち人間の生活と関わりが深く、色々な形で長く利用され、守られてもきた植物だと言えるでしょう。

 

 

 

 

                                     古道に立つ檜

 

 

 

檜と檜葉

 

そんな植物の例のひとつが、ヒノキ(檜)やヒバ(檜葉)の樹木です。

 

過去のブログで虫よけのアロマとしてもご紹介しましたが、その香りに懐かしさを覚える方も多いはず。

木造住宅の清々しい空気感や、森の中で深呼吸しているようなリフレッシュ気分を感じられる香りです。

 

日本では古くから、その精油(香り)成分によってシロアリなどの虫害から守り、細菌やカビなどの腐食にも強い優れた建材として長く利用されてきた植物です。

寺社仏閣など現存する多くの歴史的建立物にも使われており、日本最古の国史と言われる『日本書紀』にも、宮殿に使うべき建材として檜が記されています。

 

「檜舞台(ひのきぶたい)」というように、その耐久性から能楽など芸能舞台の土台板にも使われてきた歴史がありますね!

 

 

 

 

 

 

 

植物の成長にも「気候風土」

 

ヒノキもヒバも、日本の中の生育に適した土地に育ち、

ときにそれを利用する土地の人々の手によって間伐や植林などの手入れをされることで現在まで守り継がれてきています。

 

植物本来の性質に合った好ましい環境が守られることで、そこに育つ植物の特性がさらに磨かれるー

そしてその影響は、植物の香りにも表れてくるのです!

 

 

 

 

環境が香りの違いを生む

 

これまでも様々な植物の香りをご紹介してきましたが、

アロマセラピーの主役である香りの素「精油」は、個性豊かな様々な植物から抽出された香りです。

でも香りの違いは、植物の種類の違いだけではありません。

 

育った土地の気候や土壌などによっても、植物の育ち方は変わり、含まれる成分―香りの素「精油」の成分の構成までもー変わってくるのです。

例えば全くおなじ品種のラベンダーでも、高地栽培と低地栽培では香りに違いが出てきます。

 

その植物にとって適した環境で育つほど、香りも豊かに放つようになることは想像がつきますね。

 

そうした香り豊かな精油は評判を呼び、産地とともに語られるようになるものもあります。

「青森ヒバ」はその一例ですが、木製の特産品やその香りの良さを耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

 

 

 

 

イラスト出典;『樹木』 コリン・リズデイル/ジョン・ホワイト/キャロル・アッシャー 著 杉山明子、清水晶子 訳 新樹社

 

 

 

 

 

柚子(ゆず)の香り

 

冬至のゆず湯として、冒頭で名前を挙げた柚子。

柚子の香りも、日本人の心がほっと安らぐ和の香りのひとつではないでしょうか。

 

柚子では、木頭(徳島県)が名高い産地です。

標高の高さや地形、雨量など土地特有の条件下で、香り高い柚子が生まれたと言います。

 

そんな柚子の香りの精油は、他の柑橘系の香りと同様に果皮から採取され、まさに果実を剥いた瞬間のような爽やかなフレッシュさと、柚子独特のライトな苦みと温かみを感じる香りです。

 

 

 

 

 

 

心身ともに温めるパワーを持っている柚子の香りは、寒い季節の入浴にぴったり。

 

冬至のゆず湯は、湯船に柚子を丸ごと浮かべて香りを楽しみながら入浴して温まることで、本格的な寒さを迎える前に身体を整える意味合いがあるとされます。

日本生まれのアロマバスですね!

 

 

 

 

 

 

バスソルトや植物オイルに柚子の精油を加えて湯船に入れるだけでも、簡単にゆず湯を楽しめますよ。

 

 

風の季節に…

~ゆずの和アロマバスレシピ~

 ゆず精油2滴

 マンダリン精油1滴

 ヒバ精油1滴

 ヒノキ精油1滴

 

        《アロマバスの方法》

①…ホホバオイルなどのスキンケア用植物オイル(5mL程度)に、

精油(合計5滴まで)を混ぜる。(約1回分)

②…①のバスオイルを湯船に入れ、よくかき混ぜてから浸かる。

 

※バスオイルはそのまま湯船に入れるだけでなく、

さらにバス用ソルト(大さじ1程度)やドライハーブ(適量)などを加えて

入浴を楽しむこともできます。

 

 

 

※精油には希釈して使用しても皮膚刺激のあるもの・疾患によって使用できないもの等があります。

 入浴に使いたいことを伝えたうえで、アロマショップや専門家にお尋ねのうえ利用してください。

※3才未満のお子様の入浴時には精油の使用は控えてください。

 

 

 

 

 

日本文化の中に根付く植物とその香りの魅力はまだまだたくさんあります!

そのご紹介はまた別の機会に…

 

ときには「和の香り」を手に取って、身近な自然に思いを馳せてみませんか♪

 

 

 

 

 

 

 

参考文献;『日本の森から生まれたアロマ』 稲本正 著 世界文化社

 


\この記事を書いた人/

大塚麻子

オーダーメイドトリートメントを提供する『Aroma Berta』主宰
英国IFPA認定・国際プロフェッショナルアロマセラピスト
日本心理学会認定心理士

自然の恵みアロマとハーブの魅力と、毎日を心地よく過ごすための利用法をわかりやすくお伝えしていきます♪


 

 


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