ラベンダーの世界

2023.04.27 Thu

 

いまや誰もが一度は耳にするほどに、リラクゼーションの代名詞のように語られる香り、ラベンダー。

 

香りには好みがあるので100%みんなが好きな香りというものはありませんが、

そんな中でもラベンダーは、名実ともにどのアロマよりも多くの人の心身を癒してきた香りといっても間違いではないでしょう。

 

でも実は、一口にラベンダーと言ってもたくさんの種類があり、その香りや特性も様々。

今回はそんなラベンダーの個性豊かな世界へ、一歩踏み出してみましょう♪

 

 

 

 

 

 

「ラベンダー」の名に刻まれたヒストリー

 

 

ラベンダーの学名は「Lavandula」。

このラテン語の語源は、「lavoー洗う」だという説があります。

 

古代から人々はこの植物の特性を知り、

消毒や防腐のために利用したことに始まって、

入浴の文化が生まれたことで有名な古代ローマでは、傷を洗い流すための沐浴剤や洗濯の際の香料として用いられたことから、「ラベンダー」と呼ばれるようになって いったと言われます。

 

 

また、中世イギリスに伝わると宮殿にハーブガーデンが造られ、

ビクトリア女王など歴代の王室の女性たちがラベンダーの香りを身につけたり様々に利用したりしたことから英国中に浸透し、

その品種はやがてイングリッシュラベンダーとも呼ばれるようになりました。

 

 

 

 

個性あるラベンダーたち

 

 

ラベンダーにはたくさんの品種があり、その香りを構成する成分の種類や割合も様々です。

 

 

中でも「真正ラベンダー(学名;Lavandula angustifolia)」は、

酢酸リナリルやリナロールなどの心身の鎮静を促す成分をバランス良く豊富に含み、リラクゼーションの香りとして幅広く安全に使える香りです。

「リラックスの香り」といえばこの真正ラベンダー。

いわばラベンダーの中のラベンダーです!

 

また、イギリスで最も親しまれるイングリッシュラベンダーと呼ばれるものは、この真正ラベンダーのことです。

 

 

 

より爽やかな清涼感を持つのは、「スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)」

ラベンダー・スピカ(spica)とも呼ばれ、尖った穂先などの姿形を表すラテン語が語源となっています。

 

見た目のシャープさとあいまって、くっきりとしたクリアな香りが特徴。

この清涼な香りは、1.8シネオールやカンファーといった芳香成分を含むことで成り立ち、真正ラベンダーとはまた違った魅力を醸します。

透き通るような爽やかさで心身をクリーンにしてくれる香りです。

 

 

 

そして、真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交配種が、「ラバンディン(lavandula hybrida)」

学名のラテン語「hybrida」は、英語「hybridーハイブリッド」の語源。

まさにラベンダー×ラベンダーのハイブリッド種ということですね。

 

真正ラベンダーの甘みのある柔らかさと、スパイクラベンダーのくっきりとした透明感をあわせ持つ香りは、爽やかな優しさで心身を軽やかに解きほぐしてくれます。

真正ラベンダー特有の深いフローラル調の香りが苦手な人にも取り入れやすいでしょう。

 

 

 

写真出典;

・『ハーブ事典』レスリー・ブレムネス編 樋口あやこ訳 文化出版局

・『MAGICAL HERBS』M・ピクトン著 作品社

 

 

 

 

 

ラベンダーの適材適所

 

 

 

ラベンダーには他にも様々な品種があり、

それぞれに含まれる成分が違うことで香りも違ってきます。

 

また、同じ品種でも、例えば高地で育ったものと低地栽培でたくさん収穫されたものなど、生育環境によっても含有成分の配合率や香りは変わってくるものです。

 

香りによる心身の変化を利用するアロマセラピーでは、その精油が獲られた植物の種類だけでなく、

どの品種なのか、どんな栽培方法なのか等々…それによって生まれる特性の違いもとても大切な要素なのです。

 

 

 

 

 

 

*シーン別*

おすすめラベンダー&ブレンドレシピ

 

 

 

*ブレイクタイムに*

「スパイクラベンダー」のリフレッシュミスト

 

 

スパイクラベンダーのクリアな香りは、空気も気分もリフレッシュしたいときのアロマミストに。

 

      《ブレンドレシピ》

    スパイクラベンダー精油 2滴

    真正ラベンダー精油 1滴

     レモン精油  2滴

 

 

      ☆作り方&使い方☆

 

30mLの遮光スプレーボトルに無水エタノール5mLと精油合計5~10滴を入れ、最後に精製水25mLを加えてよく振り混ぜれば完成です。

よく振ってから、香りを拡げたい空間にスプレーします。外出先で、気分を変えたい時にハンカチなどにシュッとして香りを楽しむこともできます。

 

 

ご注意】

 

※布類にスプレーする場合、素材に精油の色が付く場合があります。

※肌に直接スプレーしないでください。

※作成後1ヶ月程度を目安に使い切って下さい。

 

 

 

 

 

*凝り固まった心身を解したいときに*

   「ラバンディン」のアロマバス

 

柔らかな爽やかさで心ほぐれるラバンディンの香りは、1日の終わりのリラックスバスタイムに。

 

      《ブレンドレシピ》

     ラバンディン精油 2滴

     真正ラベンダー精油 1滴

    マージョラムスイート精油 2滴

 

 

        ☆利用法☆

①…ホホバオイルなどのスキンケア用植物オイル(5mL程度)に、精油(合計5滴まで)を混ぜる。(約1回分)

②…①のバスオイルを湯船に入れ、よくかき混ぜてから浸かる。

 

 

【ご注意】

※バスオイルはそのまま湯船に入れるだけでなく、さらにバス用ソルト(大さじ1程度)やドライハーブ(適量)などを加えて入浴を楽しむこともできます。

※精油の種類によっては希釈して使用しても皮膚刺激のあるもの・疾患によって使用できないもの等があります。入浴に使いたいことを伝えたうえで、アロマショップや専門家にお尋ねのうえ利用してください。

※3才未満のお子様の入浴時には精油の使用は控えてください。

 

 

 

 

*お休み前に*

   「真正ラベンダー」の芳香浴

 

深く心を落ち着かせてくれる真正ラベンダーの優しい香りは、心穏やかに眠りたいときのベッドサイドの香りに。

 

      《ブレンドレシピ》

     真正ラベンダー精油 2滴

     オレンジスイート精油 1滴

 

        ☆使い方☆

ベッドサイドテーブルや枕元にアロマストーンやハンカチ等を置き、そこへ精油合計2~3滴を垂らしてほのかな香りを感じながら休みます。

 

 

【ご注意】

※原液が肌に付かないよう注意し、付着した場合はせっけんでよく洗ってください。

※布類に垂らす場合、素材に精油の色が付く場合があります。

 

 

 

 

 

 

種類によって異なる魅力を放つラベンダーの香りの世界。

今の自分に寄り添ってくれるラベンダーはどれなのか、深呼吸しながら香りと対話してみてくださいね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

<参考文献>

・『ハーブ事典』レスリー・ブレムネス編 樋口あやこ訳 文化出版局

・『ハーブ学名語源事典』大槻真一郎・尾﨑由紀子著 東京堂出版

・『アロマテラピーのための84の精油』ワンダ・セラー著 高山林太郎訳 フレグランスジャーナル社

・『MAGICAL HERBS』M・ピクトン著 作品社

 

 

 


\この記事を書いた人/

大塚麻子

オーダーメイドトリートメントを提供する『Aroma Berta』主宰
英国IFPA認定・国際プロフェッショナルアロマセラピスト
日本心理学会認定心理士

自然の恵みアロマとハーブの魅力と、毎日を心地よく過ごすための利用法をわかりやすくお伝えしていきます♪



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