心と肌を穏やかに カモミールのジェントルスキンケア
マスクをはずしたくなる暖かな季節を迎えていますが、
長いマスク生活や花粉、新生活のストレスなどで、お肌の荒れが気になっていませんか?
今回ご紹介するハーブは、カモミール。
優しさと強さ、そして癒しの象徴のようなハーブです。
華々しく主張せず、でもうつむくことなく可憐に咲き誇る姿と、
他の生物たちへ惜しみなく分け与える薬草としての癒しのパワー。
そんな聖者のようなハーブ、カモミールの力を借りて、心と肌を優しく励ますヒーリングタイムを…
神に捧げられた花
古代エジプトの時代から薬効の高いハーブとして知られていたカモミールは、
熱や感染症、皮膚疾患、胃腸の不調や不眠、精神疾患、婦人病などのあらゆる症状に対して、鎮静化し緩和する治療に役立てられていました。
そしてその恵みの深さを讃え、「最高位の薬草」として太陽神への捧げ物にしていたと言います。
またキリスト教圏では、聖者と関わりの深いハーブとして聖人の祝日にカモミールを焚いたり、教会へカモミールの花束を持ち寄ったりしたそうです。
強くて優しい、癒しのハーブ
生命力の強さを代弁するのは、その花言葉。
カモミールには、「逆境に負けない」「苦難の中でも成長する」という意味の花言葉が常に添えられます。
踏まれても香りを放ちながら悠々と咲き広がる光景は、困難にある人々に勇気を与え、
その花畑の中に身を投じて香りを身体に取り込むことで心身を癒そうとする試みもされていたようです。
カモミールはまた、自分自身が逆境に負けないばかりでなく、隣に立つ小さな木や植物の病まで快復させてくれることから、「植物のお医者さん」とも呼ばれます。
まさに強さと優しさ、そして癒しそのもののようなハーブです!
キャベツの害虫予防と成長に役立ちながら隣で咲くカモミール。
ハーブとアロマと…
2種類のカモミール
カモミールには大きく分けて、ジャーマンとローマンという品種があります。
エジプト人たちが伝えてくれたように、どちらも心と体を穏やかにする力に満ちた癒しのハーブですが、ちょっとした役割分担があります。
香り成分である精油を抽出したとき、リンゴに例えられる甘く柔らかな香りが際立つのはローマン種。
心身を穏やかに調えたいときのリラックスアロマとして人気の高い香りです。
一方お茶としてハーブそのものを飲むには、苦味が強くあまり向きません。
ローマン種とは逆に、ジャーマン種の精油は薬草みのある強めの香りで、精油の「香りを楽しむ」目的にはあまり向きません。※
一方ハーブティーにすると優しい香りで風味も良く、心身を穏やかに調えたいときのリラックスティーとして人気です。
精油の香りを利用するアロマセラピーと、ハーブそのものの風味を味わうハーブティー。
同じカモミールでもそれぞれに適した利用法があり、役割分担をして私たちを癒してくれるのです。
※ジャーマン種の精油はアレルギーや炎症を抑える働きのある化学成分「カマズレン」を多く含み、アロマセラピーを治療的に用いる場で利用されることが多い。
カモミールのダブルスキンケア
そんな2種類のカモミールの癒しの力を借りて、ハーブとアロマのダブルスキンケアを!
*おすすめレシピ*
ヒリヒリ、ムズムズ…花粉やマスクの刺激でダメージを受けがちなドライ肌に。
《用意するもの》
カモミールローマン精油 1滴
スイートアーモンドオイル 5mL
フェイスタオル 1枚
《実施方法》
① スイートアーモンドオイルにカモミールローマン精油を加えよく混ぜたら、顔全体(もしくは肌荒れが気になる部位)にやさしくのばしながら塗る。(※1)
イラスト左のようにリンパの流れを意識してやさしくマッサージしながら塗るのもおすすめ。
② 40度前後のお湯に浸してよく絞ったタオルを、顔全体を覆うようにかけ、頬や顎などを心地よい程度に押さえながら数秒当てる。(※2)
③ タオルをはずし、そのタオルでやさしくオイルを拭き取る。
④ 化粧水などいつものスキンケアをして完了!
ローマンカモミールの優しい香りと成分で肌も気持ちも軟らかく穏やかに蘇ります♪
(※1)
・植物オイルに対して精油配合濃度は1%までにしてください。(植物オイル5mLに対して精油1滴で1%)
・いっぺんに多量のオイルを塗って目や口などに流れて入らないよう注意してください。
・使用前に二の腕の裏などでパッチテストを行い肌に合わないと感じたら使用を中止してください。
・特にキク科植物にアレルギーのある方は念のため必ずパッチテストを行ってください。
・手作りしたオイルは基本的にその日のうちに使いきってください。
(※2)
タオルが熱すぎないか腕などで温度を確認してから顔に当て、目などデリケートな部位や皮膚の薄い場所は強く圧迫したり擦ったりしないでください。
イライラ、キリキリ…不規則な生活で、睡眠や食事の乱れが気になるアンバランスな肌に。
《用意するもの》 (ティーカップ1~2杯分)
<ドライハーブ>
ジャーマンカモミール
レモングラス
ラベンダー 各ティースプーン1杯程度
《飲み方》
ティーポットにすべてのドライハーブを入れ、熱湯を注いで3分ほど置いたら飲み頃です。
お好みでハチミツやミルクを加えても。
心落ち着く香りと風味で、心もお腹もほっと一息。午後の休憩やお休み前のティータイムにおすすめです♪
穏やかな優しさで心と肌を癒すヒーリングハーブ、カモミール。
その温かな香りに包まれて癒しの時間を過ごした後には、
踏まれても咲き続ける強さもまた、湧いてくるかもしれません!
<参考文献>
・『ハーブ事典』レスリー・ブレムネス編 樋口あやこ訳 文化出版局
・『ハーブ学名語源事典』大槻真一郎・尾﨑由紀子著 東京堂出版
・『アロマテラピーのための84の精油』ワンダ・セラー著 高山林太郎訳 フレグランスジャーナル社
・『MAGICAL HERBS』M・ピクトン著 作品社
\この記事を書いた人/
大塚麻子
オーダーメイドトリートメントを提供する『Aroma Berta』主宰
英国IFPA認定・国際プロフェッショナルアロマセラピスト
日本心理学会認定心理士
自然の恵みアロマとハーブの魅力と、毎日を心地よく過ごすための利用法をわかりやすくお伝えしていきます♪