魅惑の花ローズ
最も華やかで、最も美しく、最も香り高い花といえば、何を思い浮かべますか?
世界中の多くの人が、それは薔薇だと答えるでしょう。
ローズは、中東の地に生まれました。
最高峰の香りで知られるダマスクローズは、シリアの古都ダマスカスの名に由来しています。
激動の中世の時代、トルコやペルシャの地からヨーロッパの国々へ、そして世界へと、人や物の移動とともに広まっていきました。
バラは、もたらされた地の人々を余すこと無く魅了し続け、今も世界中で数多の品種が誕生し続けています。
女性の魅力を写す花
ローズは、女性の魅力を幾重にも代弁してきた花でもあります。
清らかな愛の象徴である聖母マリアは、聖人にバラの香りのするロザリオを授けたという伝説があり、
クレオパトラは英雄アントニウスの心を射止めるためにバラの花びらを敷き詰めたと言われています。
愛と清らかさ、気品、ときには妖艶な美しさー
折り重なるバラの花弁のように、
決して一面的ではない女性性の複雑な魅力を見事に描き添えてきた花なのです。
一方で、バラはたおやかな女性にだけ寄り添うものではなく、
その花の魅力が勇気と誇りを鼓舞するように、ペルシャの戦士たちの盾の飾りにはバラがあしらわれていたと言います。
薬用植物としての信頼
また、バラはその香りだけではなく、
薬効の高い植物として知られ、呼吸器症状を抑えるための香膏にしたり、
礼拝の地を清めるためにバラの蒸留水を振り撒いたりしていたと言います。
例えば、ダマスクローズと同じく原種に近いガリカローズは、「アポセカリーローズ」=薬屋のバラという呼称を持っています。
また、薬効の高さへの感謝や敬意を表し、「天使の贈り物」とも呼ばれていたとか。
現在の植物療法においても、ガリカやセンティフォリアなどの品種は、
花びらをハーブティーにして飲んだり、
浸出液や蒸留水をスキンケアに用いたりします。
美と癒しのパワーをいただく
女性の魅力を表現したり、ハーブティーやスキンケアで利用されたりしてきたローズの花。
それには、「なんとなく綺麗だから・良い香りだから」ではなく、ちゃんと理由があります。
その理由を、今回はローズのアロマ&ハーブレシピとともにお伝えしていきます♪
*ローズの魅力満開レシピ*
ローズオイルの
エイジングスキンケア
ローズには今や様々なさ品種があり、香りが良いものや花色や姿形が際立つものなど色々ですが、
香りの女王と呼ばれるダマスクローズをはじめ、香りの良い品種からは精油が得られます。
「ゲラニオール」や「ネロール」といった芳香物質は、皮膚に張りをもたらす作用で知られますが、
この成分こそが、ローズ特有の香りを生み出す大切な構成要素。
年齢肌のくすみやたるみ、乾燥などのトラブルのトリートメントオイルには、天然のローズの香りがおすすめなのです!
《用意するもの》
●ローズ精油 2滴 (→☆1)
●スイートアーモンドオイル 10mL
《使用方法》
①ホホバオイル10mLに、精油合計2滴までを加えよく混ぜる。
②手のひらに10円玉程度のオイルをとり、両手を合わせて温めてから、顏全体にそっとのばしながら塗る。
③オイルが浸透するように両手で顔全体を包み込むようにして軽く肌を押さえながら、香りを感じて深呼吸。
☆1.ローズ精油には、水蒸気蒸留で抽出されたオットー、溶剤抽出されたアブソリュートがあります。
また、ローズ精油は大変稀少で高価なため、ホホバなどの植物オイルで予め3~10%程度に希釈された、香りがマイルドなものもあります。
さらに、多様な品種のローズ精油が販売されています。
香りの強さや特性に違いがあるため、購入店に確認のうえ、使用用途や香りの好みなどによって使い分けると良いでしょう。
※植物オイルに対して精油配合濃度は1%までにしてください。(植物オイル10mLに対して精油2滴まで)
※手作りオイルの使用前には二の腕などに少量塗布するなどパッチテストを行い、肌に合うか確かめてからご使用ください。
ローズペタル(花弁)の
おなかも休まるリラックスハーブティー
ローズレッドと呼ばれるガリカローズなどの花弁から抽出されるハーブティーは伝統的に、喉が痛むときにうがい薬のように使用したり、
神経性の胃腸炎や、月経不順や更年期など女性周期のトラブルの際に飲まれたりしてきました。
同じ悩みを抱える現代の女性にとっても、その香り豊かなハーブティーが心身ともに癒される一杯になることに変わりありません!
また、ビタミンC豊富なハーブティーとしてお馴染みのローズヒップは、
ドッグローズという品種のバラの実。
バラの花びらとともにブレンドティーにしても、美肌に一役買ってくれます。
《用意するもの》(カップ1杯分)
●ローズレッドまたはローズピンク ティースプーン1~2杯
●ローズヒップ(→☆2) ティースプーン1杯
(すべてドライハーブ使用)
《作り方》
全てのハーブをティーポットに入れて熱湯を注ぎ、3~5分程待ったら飲み頃です。
お好みでハチミツ(マヌカハニーなど)を加えても。
☆2.乾燥させたローズヒップの実は固く、細かくカットされたものやパウダー状にしたものもあります。
細かい形状のものほど抽出したときの風味も濃くなるので、分量を調節してください。
※ハーブは必ず食用として販売されているものを使ってください。
ポプリなど雑貨用のドライハーブや、鑑賞用の花束に入っているもの、園芸品種の苗等のものを自己判断で口にしないでください。
あこがれのバラ風呂!
ローズ香るアロマバス
クレオパトラの伝説のように、バラの花びらを浮かべたお風呂に浸かりたいと思ったことのある方も多いはず。
バラの複雑で華やかな香りには、不安な気持ちを払い、自信や希望を手渡してくれる愛情深さがあります。
バラのエッセンスを加えたバスタブに浸かることは、スキンケアのためだけでなく、幸福な気持ちを取り戻したいときにもおすすめです。
《用意するもの》
●ローズ精油 3~5滴 (→☆1)
●ローズレッドやピンクの乾燥させた花びら
(ローズの入ったハーブティーのティーバッグで代用しても。→☆3)
●スイートアーモンドオイル 5mL程度
●バス用ソルト(天然塩やエプソムソルトなど) 適量(製品ごとに確認)
《使い方》
① 精油を加えた植物オイルとドライハーブ、ソルトを混ぜ合わせ、お茶用パックやオーガンジーの袋などに詰める。
② ①をバスタブに入れ、お湯をよくかき混ぜてから入浴する。
☆1.参照
☆3.ブレンドティーの場合は、皮膚刺激になるような成分やスパイス類等が入っていないかなど、ティーバッグに含まれる他の成分もご確認のうえ利用してください。
※レシピの配合量を超えて多量に使用しないようにご注意ください。
お肌に合わないと感じた場合は使用を中止してください。
花の女王と謳われるローズ。
美と癒しの力、そして幸運を引き寄せるような圧倒的な魅力。
そのパワーは、バラの香りを身にまとい、味わい、利用する人にも分け与えられるようです。
ローズの魅力を味方に付けて、今よりもっと輝いてみませんか?
<参考文献>
・『ハーブ事典』レスリー・ブレムネス編 樋口あやこ訳 文化出版局
・『ハーブ学名語源事典』大槻真一郎・尾﨑由紀子著 東京堂出版
・『アロマテラピーのための84の精油』ワンダ・セラー著 高山林太郎訳 フレグランスジャーナル社
\この記事を書いた人/
大塚麻子
オーダーメイドトリートメントを提供する『Aroma Berta』主宰
英国IFPA認定・国際プロフェッショナルアロマセラピスト
日本心理学会認定心理士
自然の恵みアロマとハーブの魅力と、毎日を心地よく過ごすための利用法をわかりやすくお伝えしていきます♪