心に甘いご褒美を キンモクセイの香り

2023.09.07 Thu

 

まだまだ暑い中にも、朝の空気や日暮れの時間帯などにほんの少しずつ、秋の気配を感じられるようになってきましたね。

 

時季の移ろいは、いつの間にか咲いている季節の花によって知らされることも多いもの。

 

 

今回は日本の秋の花として馴染み深い、

金木犀(キンモクセイ)の香りのお話をしてみます。

 

 

 

 

 

日本の秋を告げる花

 

 

キンモクセイは元々、中国から伝来した樹木と言われています。

 

江戸時代に伝わったとされ、香りが良く常緑でほどよい大きさに育つ木は、庭木として好まれるようになります。

 

 

今では建ち並ぶ家々のどこからか金木犀がふと香り秋の訪れを感じる、

そんな日本の風情が当たり前のようになっていますね。

 

 

沈丁花(ジンチョウゲ)、梔子(クチナシ)とともに、日本三大香木の一つと呼ばれるようになった金木犀(キンモクセイ)。

 

日本の人々を魅了する香りのルーツをたどってみます。

 

 

 

 

 

癒しのハーブティー

「桂花茶」

 

 

原産国とされる中国では、モクセイ科の花木は「桂花」と呼ばれ、

花の種類によって、「丹桂」や「銀桂」などとさらに呼び分けられます。

 

 

中国茶の中でもよく知られているジャスミン茶と同じく花弁を淹れるお茶「花茶」のひとつに、「桂花茶」があります。

 

ジャスミン茶も桂花茶も、主に緑茶や烏龍茶などをベースに花をブレンドしたり花で香り付けしたりしたお茶を指しますが、

「桂花茶」には、乾燥させたキンモクセイの花にお湯を注ぎ、そのままお茶にして飲むものもあります。

 

明るい橙色の花から甘い香りが漂う、金色のアジアンハーブティーです!

 

 

お茶の他にも、白ワインにキンモクセイの花を漬け込んだ「桂花陳酒(ちんしゅ)」という伝統酒があり、楊貴妃が愛飲していたとも言われています。

 

 

 

 

古くから薬用植物としても知られていたキンモクセイは、

その植物成分、芳香成分によって、胃などの内臓の働きを整え、疲れをとり、不眠の悩みを解消する力を持つとされました。

 

 

キンモクセイのそうした癒しの特性をいかした香り高い飲み物は、長い月日を経て今も受け継がれているのです。

 

 

 

キンモクセイの香りを紐解く

 

 

甘い香りの中にたくさんの癒しのパワーを秘めたキンモクセイ。

 

その特有の甘い香りの核を担うのは、

桃や杏(あんず)などの果実にも含まれる香り成分「γ-デカラクトン」と言われます。

 

この成分は目や肝臓の疲れに働く成分と言われていますが、

もう一方では若くハツラツとした生体が醸し出す香りに近いことがわかっており、

主に女性の加齢臭対策の成分として近年注目されているとか。

 

人の魅力を引き立てる、そして人を惹き付けるカギとなる成分と言えそうです。

 

 

 

 

また、ラベンダーやゼラニウム、バラなどと共通するリナロールやゲラニオールといった優しく華やかな香り成分も含まれ、

これらの成分は心身を安らぎへ導くのが得意です。

 

 

スミレなどに共通する、β-イオノンという甘くフローラルな花の香気も含んでいます。

 

 

果実のように甘いフレッシュさと、色々な花々が咲き乱れているかのような明るくも穏やかなフローラル感。

 

そして、ほんの少しだけあとに残る爽やかな青っぽさも、キンモクセイの仕掛ける魅惑のアクセント。

これはリナロールオキシドや青葉アルコールと呼ばれる芳香成分の影響と言われます。

 

 

これらの香りの絶妙なコラボレーションが、キンモクセイの魅力的なアロマを生み出すのでしょう。

 

 

甘く爽やかでいて、奥深い。

懐かしさと優しさからなる、安心感。

 

キンモクセイの魅力が引き込む世界は、知れば知るほどに神秘的です。

 

 

 

金木犀の香る風景を求めて

 

 

キンモクセイの花から得られる天然100%の精油は、希少性の高いもの。

また、ふと道端で香ってくる、あの自然に咲いたキンモクセイの香りをそのまま閉じ込めるのもなかなかに難しいのです。

 

それでもお部屋でキンモクセイの咲く風景を味わいたい!と思ったら、こんなアロマブレンドはいかがでしょうか?

 

 

   *おすすめアロマレシピ*

    金木犀香る庭ブレンド

 

       ネロリ3%DIL精油 1

       ベンゾイン精油 1

 

甘くフルーティーな金木犀の香りへのオマージュを込めたイメージブレンド。

お好みでほんの少しだけクラリセージやホーウッドを加えると、木肌や葉の生き生きとした雰囲気もプラスされる気がします。

 

アロマライトやディフューザーなどの芳香器でお部屋に香らせて、雰囲気を味わうようにアロマを楽しんで。

 

 

※数字は滴数の比率です。

※DIL精油(DILUTED  ESSENTIAL OIL)…ホホバオイルなどの植物オイルで表記の割合(%)に希釈された精油です。

粘度の調整や希少精油の高価格への配慮等を目的として生産されており、原液のものより香りもマイルドです。

芳香器の種類等によってDIL精油が使えない場合もありますので、お持ちの製品の仕様をご確認のうえご使用ください。

 

 

 

 

 

 

秋を感じる朝の風に乗って金木犀がふと香ったら、それは自分へのご褒美チャンス!

甘く深い癒しの香りを胸いっぱいに吸い込んだら、フレッシュな気分で出掛けましょう♪

 

 

 


\この記事を書いた人/

大塚麻子

オーダーメイドトリートメントを提供する『Aroma Berta』主宰
英国IFPA認定・国際プロフェッショナルアロマセラピスト
日本心理学会認定心理士

自然の恵みアロマとハーブの魅力と、毎日を心地よく過ごすための利用法をわかりやすくお伝えしていきます♪



ページの上部へ